森本喜久男さんは京友禅職人でありながら、30代はじめにカンボジアの難民キャンプで出会った一枚の伝統的な絹織物に魅了され、長い内戦で途絶えかけていたカンボジアの伝統工芸品、クメールシルクの技術を復活させようと現地に移住し、半生をかけて絹織物文化を再興させた人物です。
その森本喜久男さんが4月9日の情熱大陸の主人公です。
森本喜久男さんがカンボジアに作ったのは、世界一の“織物の村”。
ここでは、森本喜久男さんのプロフィールや経歴とともに、カンボジアの“織物の村”でつくるクメールシルクの通販サイトと、東京江東区で行われる展示販売会についてまとめています。
目 次
森本喜久男のクメールシルク展示販売会について
この展示会では、森本喜久男のIKTTのシルク製品で、
- ハンカチ
- スカーフ
- 絣布 などの展示・販売が行われます。
また会場では、世界のさまざまな蚕蛾とその他の絹糸昆虫から作られる原糸・織物を、実際に触れて「シルク」という繊維の可能性の拡がりを感じることができるようになっています。
同時に、MAKI TEXTILE STUDIOほか、インドで製作されたさまざまなシルク製品の展示・販売も行wれているようです。
会場近隣は、ブルーボトルコーヒーをはじめ焙煎所を併設したカフェや北海道産のチーズ販売所、また、雑貨屋さんなども多数あり、一日楽しめるエリア担っているようですね。
日時
- 4月15日(土):10:00~18:00
- 4月16日(日):10:00~16:00
場所
- 東京都江東区平野1-5-5-101(WILD SILK MUSEUM)
- 最寄駅:半蔵門線・都営大江戸線 清澄白河駅
森本喜久男のクメールシルク通販サイト
森本喜久男さんのクメールシルクは、通販での購入も可能です。現在UPされているのは22種類。
余命宣告期限が2017年
アンコール遺跡群の観光客で賑わうカンボジア・シェムリアップ近郊に世界でも稀な“織物の村”があります。
村の豊かな森で得られる天然染料を使い、カンボジアの伝統的な織物技術と高い芸術性が織り込まれた絹織物は世界最高級と評されているのですが、ずっと前から織物の村だったわけではありません。
約14年前に、荒地だったこの場所を開墾し名人を招いて養蚕から染め、織りまでの一連を村人の手作業で行えるようにしたのが京都の友禅職人だった森本喜久男さんでした。
きっかけは、30代始め、カンボジアの難民キャンプで出会った一枚の伝統的な絹織物に圧倒されたことです。
森本さんは、長い内戦で途絶えかけていたカンボジアの伝統工芸品、クメールシルクに魅了され、この技術を復活させようと現地に移住。
日本人でありながらその半生をかけて絹織物文化を再興させたのです。
その功績はまさに“奇跡”とカンボジア国内外から賞賛を浴びている森本さんですが、実は『がんで余命5年』という宣告を受け、2017年の今年がその5年目になるのです。
4月9日の情熱大陸では、痛みに耐えながらもこの地で自分が最後に成し遂げることは何かを模索し続ける森本さんに密着したドキュメンタリー放送になっています。
2017年の「蚕まつり」動画
森本喜久男さんの取材が行われた時期、カンボジアの“織物の村”では年に一度の「蚕まつり」の季節でした。
このお祭りは、死ぬことで美しい糸を生み出す蚕を供養したいと森本さんが始めたもの。
このお祭りでは、その年の布作りの成果が発表され、村の繁栄を祈るものとなっています。
今年、2017年のお祭りは、もしかすると自らの集大成になるかもしれないと思った森本さんは、自分がいなくなった後も変わらずこの村が、そして美しい織物作りの技術が継承されことを願った、特別なお祭りでした。
3月11日に、カンボジアの「伝統の森」で開催された「蚕まつり2017」前夜祭のステージのダイジェストがFacebookにUPされていました。
3.11なんですよね。
偶然かもしれないけれど、この日にお祭りが開催されたことに特別なものを感じます。
森本喜久男のプロフィールと経歴
プロフィール
- 名前:森本喜久男(もりもと きくお)
- 生年月日:1948年(2017年4月現在 68歳)
- 出身地:京都府
- 職業:京友禅職人、テキスタイル・デザイナー
- 家族は日本で暮らす娘の彩香(あやか)さん
経歴
- 1971年: 京都にて手描き友禅の工房に弟子入り。
- 1974年: レイデザイン研究所テキスタイルデザイン科卒業。
- 1975年: 独立して手描き友禅工房(森本染芸)を主宰
- 1983年: タイのラオス難民キャンの織物学校のボランティアとしてタイを訪問。タイの手織物と出会う。
- 1988年: バンコクに草木染シルクの店「バイマイ(「木の葉」の意)」を開店
- 1996年:カンボジア伝統の織物復興を目的とした現地のNGO「IKTT」を設立。⇒ オフィシャルサイト
受賞歴
- 2004年: 第11回ロレックス賞を受賞
- 2007年: プノンペンの王宮にて、ノロドム・シハモニ国王より接見の栄誉を賜る
- 2014年:外務大臣賞受賞
出版書籍について
森本喜久男さんは数冊の本を出版なさっているのですが、その中の代表作が、『カンボジアに村をつくった日本人: 世界から注目される自然環境再生プロジェクト』(白水社)です。
書籍の一部を、抜粋すると以下のような内容になっています。
布は、森の、そして自然の恵みである。それは、土と水そして太陽という自然の循環と切り離すことはできない。本当の自然のなかから生み出された色や布には、命がある。まとうと温もりがあり、元気が出る。わたしたちの「伝統の森」では、そんな布が作られている。──第7章「『伝統の森』の現在」より
引用:アマゾン
書籍の内容は、シェムリアップ近郊にある5ヘクタールの開墾から始まった「伝統の森」で、伝統技術を受け継ぎ、自然の恵みを仕事と生活に生かす取り組みの軌跡で、書籍を読んだ方のレビューが高評価なものばかりです。
書籍の口コミ・レビュー(アマゾンより引用)
●5つ星のうち 5.0 IKTTと森本さんこそノーベル平和賞にふさわしい!投稿者 sanrino 投稿日 2015/3/9
形式: 単行本(ソフトカバー) Amazonで購入
徒手空拳、カンボジアの伝統織物を復興させた森本喜久男さんの活動と荒れ地を開墾するところから作り上げた村の歴史です。この人たちの活動は戦乱で荒廃したカンボジアの復興の一つの物語ではなく、日本の地方(だけでなく都市においても)の再生の道しるべとなる内容です。因みにロックフェラー財団が世界中の「村おこし」プロジェクトの中で唯一の成功例がIKTTであると報告したそうです。昨年話題になった「里山資本主義」を読まれた方にはぜひお薦めします。一読されれば彼らの活動がノーベル平和賞にふさわしいと感じられるはずです。●5つ星のうち 5.0 関係者必読、実践の開発哲学
投稿者 田島誠 投稿日 2015/3/30
形式: 単行本(ソフトカバー) Amazonで購入
森本 喜久男さんの最新刊「カンボジアに村を作った日本人」が、あまり面白いので一気に読んでしまった。足掛け30年の話をこんな短時間で済ませてしまってご本人に少し申し訳ない気分になった。でも、これで折に触れて彼から断片的に聞いていた話がようやく一つに繋がった。本書は彼の個人史であるが、開発協力に関わる人には全員読んでもらいたい内容だと思った。読中繰り返し感心させられた飾らないそれでいて珠玉の言葉も散りばめられている。
成功のレシピなどないとは思うが、あえて挙げるとすれば、彼の人間中心主義(人を育てることが最も重要)、そして生活主義(学びは日々の生活の中で時間をかけて得て行くもの)、そして自然主義(優れた織物は優れた原料とそれを育む自然環境なくしてはあり得ない)にあるように思った。
人を大切にして援助(分野)ありきではなく、個々人のニーズに応える、短期間の研修を実施して人材育成だ、能力強化だと言うのではなく、5年、10年の月日をかけて人を育てる、そしてそれができる環境を整える、原料生産から製品開発、製造、販売に至るまで一貫してやる(Appleモデル)、そして寄付・助成金に頼らず自立採算性で運営しそのコストを従業員全員で負担する(ワークシェアリング)。これらを実践の中から体感し実行に移されて来たことに驚嘆の念を禁じ得ない。
●5つ星のうち 5.0 映画のようなストーリー
投稿者 谷口勝浩 投稿日 2015/3/23
形式: 単行本(ソフトカバー) Amazonで購入
お会いした森本さんのお姿からは想像できないような疾走感。
気付かないうちに彼を助けるために、いろんな人が動いてしまう。
まるで映画のようなストーリー展開がリアルに綿々と起こっていきます。
ビジネス書で良く目にする「成功するまで続けることが成功する秘訣」とはよく言ったものです。まさにこれです。
カンボジアをキーワードで読む人も、絹織物をキーワードで読む人も感動間違いないのでしょうが、絆や出会い、運命、努力、生き方などいろんな意味のインスパイアの種が眠っている本です。是非、手に取って読んでみてください。
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まとめと感想
ここでは、京友禅職人でありながら、異国カンボジアで、伝統工芸品、クメールシルクの技術を復活させようと現地に移住し、半生をかけて絹織物文化を再興させた森本喜久男さんについてまとめました。
命のかぎり、異国の人々と文化を守ろうとする森本さんを突き動かしているものはなんだろうと、色んなことを考えさせられてしまいます。
貧しかった難民キャンプの人たちが、手に職をつけ、自国の文化を世界に発信することで、自立と豊かさを手に入れていく過程に注がれた森本喜久男さんの愛情の深さはどこから湧き上がってきているのでしょうか?
書籍のレビューにもあるように、まさにIKTTと森本さんこそノーベル平和賞にふさわしく、番組は泣けるような番組ではないはずなのに涙が止まらないんですよね。
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