出典:http://www.nhk.or.jp/docudocu

絵本作家の甲斐信枝さん(85才)が「雑草が教えてくれたすてきな世界」と題してNHKのドキュメンタリーで放送されました。

何度か再放送されていますが、何回見ても癒やされます。

甲斐信枝さんトレンドマークは大きなバッグと麦わら帽子。

甲斐信枝さん

出典:http://www.nhk.or.jp/docudocu

甲斐さんが見つめる先にあるものは、新しい生命を宿し、新しい場所へと向かっていく無数のたんぽぽの赤ちゃんたち。

こうやって、接写された写真をみると、本当に可愛いです。

たんぽぽ

出典:http://www.nhk.or.jp/docudocu

そして、描いていらっしゃるのは、普段は見向きもされない足元にある雑草たちです。

植物たちの誰が主役かわからないけど、それぞれに個性があって、共存しあう植物たちは、よく見るとそれぞれの個性をちゃんと描いてもらっています。

雑草たち

出典:http://www.nhk.or.jp/docudocu

これらの小さな植物たちに時間をかけて向きあって、じっくり観察されて描かれた植物たちの美しい姿を「ひとり占めではもったいないから」と絵本として出版なさっています。

ここでは、そんな絵本作家の甲斐信枝さんのプロフィールや絵本についてまとめています。

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甲斐信枝さんの「雑草の暮らし」

「雑草の暮らし」というのは甲斐信枝さんの代表作で、出版は1985年4月30日。

もう30年以上立つのに未だに版を重ねるロングセラー作品です。

この本を描くにあたって、甲斐信枝さんは、わざわざ畑のあとを借りて、雑草をはやして五年間植物たちに密着取材なさったそうです。

  • 読んであげるなら:5・6才から
  • 自分で読むなら:小学低学年から

と、表紙の絵は大人向けですが、子供でも楽しく読めるようで、以下のレビューもこの絵本を絶賛するようなものばかりです。

子供に限らず、植物好きにはたまらない内容になっているようですね。

雑草のくらし―あき地の五年間 (福音館の科学の本)

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雑草の暮らし」アマゾンレビューより

・雑草なんて、いつもどこでも同じようなもの――なんて思っていませんか? 私も「季節によって変化はあるだろうな」ぐらいは考えていましたが、冬には冬、夏には夏の、大体同じ雑草が生えていると思っていました。この絵本を見るまでは。
著者は、草花を精密に描く絵本作家さんです。でも美しい絵を描くというだけではなく、この本では、自然を定点観察する科学者のような業績を残していると言えます。著者は、空き地を5年間見つめ続け、雑草の栄枯盛衰のドラマを観察してこの本にまとめました。最初の春にはメヒシバ、次の春にはオオアレチノギク、次の春にはカラスノエンドウ、そして最後の春、地下で根に栄養をためてきたスイバが空き地の王者となります。どの雑草が優れているというより、環境の変化に応じてそれぞれの特性に合った植物が繁栄するということでしょうか。雑草たちに、こんなドラマがあったんなんて・・!

・雑草が生えた空き地なんて、退屈で汚いだけ・・・そんな先入観をひっくりかえす、雑草たちの真実の世界です。
春の小さな柔らかい緑、夏の森林のような群生、秋の盛大な実り、冬の雪に立ち尽くす枯れ草。
熾烈な生存競争をくりひろげて、空き地はダイナミックに変わっていきます。
まさに自然の大エネルギー!
それを5年間も見つめ続け、しっかりと描きとどめた作者のエネルギーもすばらしいです。

・雑草というのは美しいと思います。庭の何でもない草ですとか、川辺の名も知らぬ草ですとか、小さな花ですとか、そういうものに信じられないくらい慰められる、ということもあります。あたかもいろいろなお花見がこの世界にはあるかのように。
とある空き地のインデックス…じゃない、雑草たちを観察し、そのポートレイトを数年間かけて描きつづけた作者。たとえ大変でもその作業は至福の時間でもあったのではないでしょうか。出典:アマゾンレビューより

ちょうちょはやくこないかな

甲斐信枝さんの沢山の絵本の中から、私が表紙で惹かれたのがこの「ちょうちょはやくこないかな」です。

草花や昆虫がリアルに表現されていて、まさに科学の絵本。

部屋に飾っておくだけでも優しい気持ちにさせてくれて癒やされそうですが、ちょうちょのリアルな羽色や形がとても美しいのです。

こちらも、絵の描写から大人向きのように感じますが、中身は、植物とちょうちょの会話形式の物語になっていて、2歳位のお子様から読んであげることができるようです。

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甲斐信枝(かいのぶえ)さんプロフィール

  • 名前:甲斐信枝(かいのぶえ)
  • 年齢:85歳(1930年生まれ)
  • 出身:広島県
  • 居住地:京都府(現在は京都の嵯峨野で執筆活動中)

*清水良雄(光風会会員、童話雑誌「赤い鳥」の画家)に師事。

*『雑草のくらし-あき地の五年間-』で第8回絵本にっぽん賞、第17回講談社出版文化賞を受賞。

『母の友』取材のエピソード

雑誌やテレビでほとんどお見かけすることのない甲斐信枝さんですが、「母の友」という古い雑誌の取材に応じていらっしゃったことがあります。

『雑草のくらし』を読んだ記者が取材を申し込んで記事になるまでのエピソードがその取材雑誌に掲載されていました。

『母の友』掲載より一部抜粋

母の友甲斐さん

出典:http://fukuinkan.cocolog-nifty.com/hahanotomo/2009/03/post-b772.html

画像は、「母の友」という福音館書店の月刊雑誌の2008年の4月号で甲斐信枝さんが特集されたときのものです。

その内容を一部抜粋すると

『雑草のくらし』を読んだときの衝撃は、今も鮮明に覚えている。一区画の更地で雑草たちが繰り広げる営みを描いた科学絵本。様々な種対の草が、栄え、滅び、次代へ命をつないでいく。物言わぬ彼らの栄枯盛衰のドラマにしばし呆然とし、次に驚きの対象は「その事実を伝えようとした人」へと変わった。自ら畑あとを借り、5年もの間観察を続けたというのだ。静かなタッチの絵に客観を貫く文章。この本の著者、甲斐信枝さんとは、一帯どんな人なのだろう。

電話での取材依頼では快諾を得たものの、参考にと見本誌を送ったところ、すぐに電話がかかってきた。

「とてもじゃないけど、私には無理ですよ」。

数度のやりとりの後、ようやく取材は許された。やりとりの中で甲斐さんがもらした「限りなく謙虚であれ、限りなく傲慢であれ」「ちゃんとした仕事はしてきていない」という言葉が耳に残った。会ってその真意を確かめたい。絵本とは、観察とは、仕事とは何か──会えば手がかりがつかめるかもしれない、そんな予感もあったのだ。

紅葉シーズン真っ盛りの京都・大覚寺。待ち合わせ場所のバス停前に、約束の30分前に着くと、すでに甲斐さんはいた。緑のスカーフの上の笑顔がチャーミング。

まずは、「縄張り」を案内してくれる。大覚寺脇の小道をゆくと、まもなく田園が広がった。ゆるやかな傾斜と周りを囲む山々が美しい。甲斐さんが常に草花を観察、写生しているフィールドだ。

「新聞紙を敷いて土手にあぐらをかいて座り込むことも多いですね。目線を低くすると、いろんなものが見つかるのよ」。出典:http://fukuinkan.cocolog-nifty.com/hahanotomo/2009/03/post-b772.html

随分古い書籍になりますが、アマゾンに中古本して数冊の出品がありました。

⇒ 母の友2008年4月号 

まとめと感想

このドキュメンタリーは『足元の小宇宙 絵本作家と見つける生命のドラマ』とつけられています。

個展の開催がないかな?と調べてみましたが過去には何度か講演会などもなさっていらっしゃるようですが近年の情報は探しきれませんでした。

私達は、見上げる空だけを宇宙だと思いがちですが、植物や自分自身と向かいあう時に小宇宙という言葉をよく使います。

空に浮かぶ星の形は五角形で表されますが、その形は私達が両手を広げた時の形と同じです。

また、地球上に咲く花たちの多くは、5つの花びらを持つものがとても多いのです。

私達人間の象徴が、無限の空には星の形として存在し、足元には小さな植物として存在し、また海の中に生息するヒトデも五角形で星の形だし、沖縄の海にしか存在しない星の砂も五角形。

あらゆる場所で不思議につながっていて、大宇宙とか小宇宙とかで表現されます。

甲斐信枝さんご出演の『雑草が教えてくれたすてきな世界』というドキュメンタリー番組を通して、気ぜわしい時間が中断されて、久しぶりにホッとできる静かな時間を過ごすことができました。

ツイッターでも同じような時間を過ごした方のコメントを見つけました!

気ぜわしい今を、ゆっくりと植物や自然に向かい合える時間がもてることって、この上ない贅沢だとおもえます。

そして、植物たちとの時間や美しさを「ひとり占めではもったいないから」とおっしゃる言葉のとおり、番組を通して私も、贅沢で豊かな時間をたくさん分けていただきました!

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