埼玉県吉田町大田部楢尾(おおたぶ ならお)で、20年間山の畑に花を植え続けた故・小林公一、ムツさん夫妻と、二人の思いを受け継ぐ地元の人々の姿を描いた番組が「秩父山中花のあとさき~ムツばあさんのいない春」と題して放送されました。
この番組は2009年に放送されたものの再放送なのですが、1番最初に小林公一、ムツさん夫妻が取材を受けたのは2002年でした。
そして、主人公の小林公一さんは2006年(平成18年9月)に、妻のムツさんは2009年(平成21年1月)にお亡くなりになっていますから、番組タイトルが「ムツばあさんのいない春」となっています。
今年は2017年ですから、もう8年も経っているのですが、ちっとも色あせない何度も見たいドキュメンタリー番組です。
ここでは、ムツばあさんが花を植え続けた秩父山中の場所や、どういった想いで花を植え続けたのか、また、ムツばあさんシリーズは全部で3部構成になっていますから、それも簡単にまとめています。
追記
2019年5月11日に、続編の最終章「秩父山中花のあとさき・最終章ムツばあさんの歳月」が放送されました。
目 次
秩父山中の場所
ムツばあさんが花を植えていた秩父山中は、埼玉県吉田町大田部楢尾(おおたぶ ならお)という住所で、googlemapでは正確な位置が特定できないほどの山中です。
まんぞうさんから、貴重な情報をいただきましたので、記載させていただきます!
多分正確な場所について、かなり多くの方が気になっていると思っていました。まんぞうさん、ありがとうございます。
ムツばあさんの家の正確な位置情報です
現在ここの集落には定住されてる方はいないようです。
谷をはさんだ小学校跡側にはまだ住んでる方がおります
まんぞうさんから教えていただいた、小学校、吉田小学校太田部分校という場所のみ、住所から見つけることができます。
ムツばあさんの畑は、この小学校の住所が目印です。
おおよそこのあたりのはずです。
そして、この大田部楢尾(おおたぶ ならお)の、1番最初に取材が始まった2002年には、戸数5戸、住民9人の限界集落になっていました。
かつては、この地区一帯は、700名近くの人が住んでいましたが、下久保ダムの完成に伴って整備された道路によって、都会との距離を便利なものに変えてくれました。
この道路の完成によって、それまでは桑畑と養蚕と炭焼き。また杉の栽培、及び伐採などの農業と林業で生計を立てていた人たちは、町の工場に働きに出ていってしまいます。
若者たちもこの地区を去り、残ったのはお年寄りの方達だけなってしまっていました。
村が栄えていた当時は、戦後の住宅ブームで、何もかもが高値で売れ大きな需要があったようです。
ムツばあさんが暮らしていた場所までの道のりを、車載のminiDVで撮影された動画がYoutube にあがっていました。
すれ違う車も人もいない山奥なのですが、その道のりの映像を見ていると、自然の景色の美しさよりも、懐かしい気持ちでいっぱいになり、涙が出そうになるのが不思議です。
住んだこともなければ、行ったこともない場所なのに、です。
この場所を調べる前に、ムツばあさんが花を植えていた場所や、その後ろに映る道路が、かつては畑だった場所で、そこにダムへと続く道路ができたことを知っていたからかもしれません。
ムツばあさん夫婦について
小林ムツさんと公一さん夫婦の最初の取材が行われた時のそれぞれの年齢は、ムツさん78才、公一さん76才。
ムツさんが2才年上の姉さん女房です。
ムツさんは山一つ越えた隣村から、当時は26歳と遅い年齢で嫁いできました。
少女時代から極度の近視だったムツさんは、小学校を出ると、みんな町の製糸工場に就職したのですがそれができず、子守や奉公をして青春時代を過ごしています。
結婚をして、結婚式の写真すら贅沢と思われていた時代に、夫・公一さんは半日かけて町の写真屋に出掛け、ムツさんの結婚写真を撮っています。
畑に花木を植えるきっかけ
加齢とともに段々畑での農作業が不可能になったムツさん夫婦は、畑をそのまま放っておくと雑草と蔓草(つるくさ)が繁茂して荒れてしまうので、木の苗と花を植え、雑草を取り除いて、お世話になった畑を山に返そうとし決心しました。
これが畑に花木を植えだしたきっかけです。
それから、番組が放送される2002年までの過去10年にわたって、1万本以上の木の苗や花をこの楢尾地区に植えてきたのだそうです。
「これまでお世話になった畑が荒れ果てているのは申し訳ない。せめて花を咲かせて山にお返ししたい」
またムツさん以下のようにもおっしゃています。
「村に誰もいなくなっても、人が訪れてきて花が咲いていたらどんなに嬉しかろう」
私も近い将来は、こういった山奥の自然豊かな場所で自給自足暮らしをしたいと思っています。
そのことを想定した時に、自分が食べるための畑を借りるところまではイメージできていたのですが、体が動かなくなった後の畑について深く考えてはいませんでした。
人から借りた畑ならお返しすれば良いし。自分名義の畑だったら、農作業ができなくなったら仕方がないのだから、そのまま放置、みたいな自分都合の勝手なことしか考えていなかったのです。
仮に、法的に自分が購入所有した土地だったとしても、もともとは地球のものでみんなのもの。
どんなに手入れをしたとしても、自然の恵みの太陽や雨や季節の変化による気温の高低差は人間ではコントロールできません。
また、枯れた雑草や落ち葉が土壌を豊かなもの変えてくれるそのサイクルは、決して人間にはかなわないものです。
そういった、頭で知ったつもりだったことが、ムツばあさんのお言葉や植樹の作業でを見ていて、自分のことだけしか考えていなかった自分の傲慢さやちっぽけさに恥ずかしくなってしまいました。
自然に生かされているという本質はこういうことだったのかと。少しだけ気づけたような気がします。
これまでの番組
ムツばあさんシリーズは全部で3部構成になっています。
2002年8月「ムツばあさんの花物語 秩父山中・段々畑の日々」
こちらが1番最初の番組で、小林公一さんとムツさん夫婦が、先祖代々耕して来た畑を閉じ、そこに花やモミジを植え続けて来た様子が放送されています。
2007年12月4日「秩父山中 花のあとさき ムツばあさんの秋」
5年前の放送時には、9人いた住民も7人に減っていて、減った2名の中にはムツさんのご主人・公一さん(2006年9月にご逝去)も含まれています。
この時のムツさんはご主人を失って元気がなくなってしまっていたことと、体力も落ちてしまって、4人1組で行う山道の手入れも、他のみんなのようには動けなくなっていました。
ご主人の看病に追われ、思うように手入れができなかった花畑も蔓(つる)に覆われすっかり藪化。
しかも、イノシシに荒らされないようにと、囲いをしていた最後の畑も、柵は壊されています。
この時のことを語るムツさんの想いが、本当に山や自然を愛するものの言葉なんだな、とここでもうるっと感動してしまいます。
その言葉は以下のようなものでした。
「自分達人間が、イノシシ達の食糧となる木などを切り倒して炭を焼き、跡地に杉ばかりを植え、山の動物達の食糧を奪って来た。だからイノシシも可哀想だ」
そして、最後の畑も、「山の自然に返す時期が来たのだ」と、山桃の苗木を植えるのでした。
その前の冬には、冬を過ごす体力と気力に限界を感じ、長男さんの住む長野市で過ごして5月に吉田太田部集落に戻って来たムツさんは、その夏に脳梗塞で入院。
1年前に最後の畑に植えた山桃は、ムツばあさんの背丈を超える位に育っています。
また、ご主人の公一さんと植えたモミジも大きく育ち、その見事な紅葉も美しく映し出されます。
アメリカ在住のターシャという有名なナチュラリストも同じように、丹精込めて維持して来た花畑を自然の雑草地に返すために、少しずつ世話するのを止めていたのを思い出しました。
ターシャのそれを見た時には、ちょっと無責任じゃないかとさえ思っていたのです。
ところが
多分、お二人ともそういったことを誰からも教わること無く、私達が肉体を持って生活するのに必要で、それに助けられた自然という宇宙からの贈り物。
それを、本来の姿に戻すところまでが自然と共存することの本質であることをご存知だったのかな、と今は思えます。
関連別サイト⇒ ターシャ・テューダーのお薦め書籍と2017カレンダー・手帳まとめ
2009年春 「秩父山中 花のあとさき~ムツばあさんのいない春」
そして3作目が、今回再放送される「ムツばあさんのいない春」です。
この番組では、20年間、山の畑に花を植え続けた故・小林公一、ムツさん夫妻と、二人の思いを受け継ぐ地元の人々の姿が放送されます。
そして番組内で紹介されるムツばあさんの言葉が、深い部分に落ちていきます。
「ぅん、そう。畑を山に戻して、安気するだぁ。のんびりするよぉ。草むしりばりして、花を咲かせて山に戻す。それをいつか山に人が戻って来た時、綺麗な花が咲いていたら、どんなに嬉しかろう」
見逃し「秩父山中花のあとさき~ムツばあさんのいない春」を無料視聴する方法
「秩父山中花のあとさき~ムツばあさんのいない春」が放送されたのはNHK。
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まとめ
ここでは埼玉県吉田町大田部楢尾(おおたぶ ならお)の限界集落に花木を植えていたムツばあさん夫婦やお二人を取材したドキュメンタリー番組のまとめと、埼玉県吉田町大田部楢尾(おおたぶ ならお)についてまとめてみました。
そして今回放送された「「秩父山中花のあとさき・最終章ムツばあさんの歳月」を無料視聴する方法についてもまとめています。
ムツばあちゃん、とってもおちゃめで可愛いです。
短い動画もYoutuneにあがっていました。
うぐいすほか鳥の鳴き声が入っていてとても耳が癒やされます。
このムツばあさんが暮らした埼玉県吉田町大田部楢尾(おおたぶならお)は、美しい花木を見ようと、春や秋には遠方から足を運ぶ方も多いようです。
まだまだ山に弘が戻ってはいないようですが、こうやって訪れる人々がムツばあさんの言えた花木にどれだけ癒されることでしょうか。
機会があれば、是非訪ねていきたいところです。
人生の豊かさとか贅沢って、こういうことをいうのだろうと、このドキュメンタリーを見てつくづく感じます。
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